狐(王子稲荷・装束稲荷)

王 子

 

最近、演じる人が少なくなってしまいましたが、落語に「王子の狐」という噺があります。

お稲荷様の縁日「初午(はつうま)」にお参りするのをうっかりした男が

一日遅れでお参りに行き、この男を化かそうとした狐を逆にだますという噺。

 

実に、この噺の舞台となるのが「王子稲荷」で、男が美人に化けた狐を誘うのが

今も親水公園の近くに残る、卵焼きで有名な「扇屋」です。

 

王子稲荷」は関東のお稲荷様の総社で、言い伝えによれば初午の日には

関東中の狐がお稲荷様に集まったという事です。

 

 

王子稲荷正面の山門 奥に鳥居と両脇の狐が見えます

神社1

手前の狐は私どもの知り合いの方のお父様が寄進した物

神社2

 

 

その狐が「王子稲荷」に集まる際、目印としたのが

現在「装束稲荷」を祀ってある場所にあった榎の大木だったそうです。

各地から集まった狐たちは、この榎の元で装束を改め「王子稲荷」に参拝したという

故事に因み、ここにお稲荷様を歓進して「装束稲荷」と称したものです。

 

 

装束稲荷 明治堂さんの正面あたりです

神社3

 

 

現在ではこの故事を再現して、毎年大晦日の深夜、地元の有志が集まり各々狐の面をつけ

衣装を凝らして「装束稲荷」から「王子稲荷」まで狐の行列を行います。

 

当初はわずかの人数でしたが年々参加者も増え、今では交通整理が必要なほどの

一大行事として定着しています。

是非、一度ご覧になってみてください。